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腰痛について

腰痛の85%は原因不明と聞くことがありますが、私の知る限り原因不明の腰痛はかなり少ないと考えます。そもそも腰痛が出現するのは大抵の場合、幼稚園に行く頃からほとんどの人で起こっています。より正確に言えば横寝、うつぶせ寝をしている子供はすでに腰痛持ちの肩こり症です。一見どうもない子供でも、肩を押さえたり背中から腰を叩いてみると、ほとんどの子供が痛がり、左右差を認めます。ただし、幼少期から有る痛みに対してはそれを痛みと認識できない為、痛みを訴えることはめったになく、本人も親もDr.も気づいていないのが現実です。基本的に仰向けに寝てない状態では確実に症状は進行し、スポーツや外傷等をきっかけにして急に症状が出現、その後症状変動を繰り返しながら症状は進行を続けています。診断は姿勢チェックとレントゲン所見から90%以上は確実に行えます。とは言っても、今の診察レベルで患者を見ていては明らかな異常所見がない限り、たいていは異常はありませんとか大丈夫ですの一言で終わってしまっているのが現実です。

◎私の腰椎レントゲンの見方

腰のレントゲンをとる時、私は起立困難な場合を除いては、必ず立位で撮影しています。そうしないと重力下における脊椎の捻り曲がり、骨盤の傾き、股関節の位置関係の状態がレントゲン所見に反映されないのです。私がレントゲン所見から読み取る情報は幼少期の仰臥位(あお向け寝)の状態・側彎状態・奇形や小学生時の骨盤変形・捻じれ・分離すべり所見・姿勢の変化、重心位置の変動に伴う側彎状態の変化・若年時の変形変化の出現・進行、成長線の変化・股関節の高さ変化、白蓋の形成状態の経年変化、スポーツによる障害の進行状態、中学から高校時代の成長線の消失、変形の固定化・椎間板の変性状態、スポーツ等による骨棘形成状態、分離症の固定化、すべり症の進行。成年期の変形変化の出現進行状態・中~高年期の円背進行、変形進行、骨粗鬆の進行・不動化状態、脊柱管狭窄状態、椎間板の変性変形、老人期の圧迫変形身長低下状態のチェック等、一枚の腰椎レントゲンから多量の情報が得られ、それらの所見を経時的に組み立てて行くと患者の過去から現在、そして未来への変化が予測できます。当然治療はその人の過去から現在、そして未来に対して行う必要が有り、現在の痛みに対して安易に痛みを取るのではなく、痛みの出ない姿勢をとれる様に指導することが重要です。